僕らの時を求めて(小説パート2)

小松 郁
遥か微かに愛の旋律が響いてくる。
この音は何だろう。
とても苦しく切ない。
まるで誰もいないみたいな旋律だ。
何となく私わかる。
切ない思いだけが込み上げてきて無性に寂しくなるの。
それは何だろう?
多分ね。
私も旋律も一人きりなのよ。
君には僕がいる。
僕にはこの旋律は響かない。
貴方は幸せなのよ。
貴方にはわからないよ。
うんでも僕はこの旋律を記憶に刻もう。
やめて。
他の人の旋律に心惑わされないで。
どうしたらいいんだろう?
僕はこの旋律は記憶にも留められないし奏でる事もできない。
良いの。
それで良いの。
私が記憶にとどめるし奏でるから。
そうだね。
僕たちは補い合ってる。
それで良いんだろう。
そうして2人はこの話題から話をそらしいつも通りケラケラと笑い合うのでした。
どうしても足りないものは補うしかないのです。
君は何かの悲しみを抱えているの?
そうかも。
私一人になるのが嫌。
いつまでも貴方と一緒にいたい。
それは大丈夫だよ。
僕らは2人で1人じゃないかい。
そうね。
貴方はすごいわ。
あのお星様の境界線上には小さなお月様がある。
そして向こうを見渡すと巨大なお日様がいる。
それにお星様のそばにはキラキラ色々な光に光る兄弟のお星様がいる。
僕はその光で照らされていつもポカポカなんだ。
うん私は旋律を聞く。
切ない思いや苦しい思い、すごい感情のうねりがあるけど時々は楽しくなる旋律もあるけど私は貴方がいるから大丈夫よ。
うん僕たちは補い合ってる。
僕もその旋律にどうしても心惹かれるんだ。
でも僕たちは決して離れない。
うん約束よ。
あのお星様にかけて誓うんだ。
僕は旋律を受け止められる君を光で満たすって。
お星様は雫をすーと垂らしました。
2人は今日起きたことを深く思い返しながらその雫を口に浸し頭をお互いにもたれてまた眠るのでした。
その2人の瞳にもほのかに雫が浮かび上がってキラッと煌めいたのは光のせいだったかもしれません。